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Webマーケティング入門 公開日:2022.03.23

KPIとは? Web広告で用いるべき指標と決める手順を解説

Yahoo!広告

KPIとは、企業の最終的な目標を達成するために設定する中間目標です。Web広告運用でも、クリック数や広告の表示数などをKPIに設定する必要があります。

本記事ではKPIの概要やKPIに用いられる代表的な指標、設定手順などを解説します。自社施策の参考にお役立てください。

KPIとは?

KPIは経営目標を達成するための中間目標として、ビジネス全般で用いられています。KPIを適切に設定するには、KPIの基礎知識とKPIツリーの重要性を知ることが重要です。

KPIは中間目標

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、事業活動の目標達成度や進捗を判定するための定量的な指標です。ゴールに向けて達成するための中間目標として設定されます。KPIはビジネス全般で設定されており、WebマーケティングやWeb広告運用でも重要な指標です。

例えば、ECサイトの最終目標が売上向上であれば、それを達成するための条件として、ECサイトへの訪問者数や受注数などがKPIとして設定されます。

最終目標としてのKGI

KPIが中間目標なのに対し、KGI(Key Goal Indicator:経営目標達成指標)は最終目標です。Web広告ではマーケティングの目的ごとに設定されることがありますが、一般的には企業全体の最終目標を設定します。例えば、「会員数○○人」「全店舗の売上○○億円」などがKGIの一例です。

KGIを達成するためのKPIツリーとは?

検索広告のKPIツリー例

KPIツリーとは、KGIを頂点(始点)にして、複数のKPIをツリーと呼ばれる構造上に配置した図です。上の図では最終目標として売上が設定され、それを実現するための検索数や、クリック単価などのKPIが設定されています。

KPIツリーを作る際には、「ロジックツリー」というフレームワークを用います。ロジックツリーから得られるメリットは次の3点です。

  • 全体像を把握しやすい
  • 上位要素と下位要素の関係が理解できる
  • 漏れとダブりをなくせる

KPIツリーはKPIを適切に設定するために、活用したい重要なツールです。各部署や担当者に全体の方針や役割を伝えるコミュニケーションツールとしても役立つでしょう。

Web広告の運用でKPIを設定するメリット

KPIをWeb広告に導入すると、現状を可視化でき、ボトルネックを発見しやすくなります。その結果、PDCAサイクルを早く回して短期間で成果が出やすくなります。

達成すべきゴールを客観的に可視化できる

KPIを設定すると、現状の達成度や進捗度を客観的に可視化できます。そのため、着実に成果を出しやすくなるのがメリットです。KPIを設定しないと、「売上向上」や「知名度向上」のように漠然とした施策になってしまいがちですが、KPIを決めておけば目標達成までの段階やクリアすべき数値が明確になります。

その結果、PDCAサイクルを早く回せるようになり、成果を出すための時間を短縮できます。また、無駄な広告費も抑えられることにもつながります。

ボトルネックを客観的に可視化できる

KPIツリーを作成すると、ロジックツリーに基づいて各種指標を改善できます。ロジックツリーは全体像を把握しやすいので、どこにボトルネックがあるのかを発見しやすいのが特徴です。また、下位要素が上位要素にどのような影響を与えるかが明確にわかるため、問題の原因を発見しやすいメリットもあります。

KPIツリーは、各KPIをさらに細かく落とし込む作業にも応用できます。例えば、「広告表示数が少ない」という課題がみつかった場合、ロジックツリーを用いて、下位の要素に分解できます。「予算」「配信先」「配信ユーザー」などの要素に落としていけるでしょう。

さらに、「配信ユーザー」の要素に対して、「ターゲティング設定」「キーワード選定」などの下位の要素に分解することが可能です。このように、KPIを軸に分析すると、マーケティング方針を広告運用のレベルにまで具体化できます。

PDCAサイクルを回しやすい

問題を数値で客観的に把握できれば、対応策が取りやすくなり、PDCAサイクルも回しやすくなります。特に運用型のWeb広告では、リアルタイムで各指標が自動的に集計されているため、一般的なビジネスより改善スピードを高められる点がメリットです

KPIに用いる主な広告指標

Web広告運用で設定するKPIは、マーケティングの目的(KGI)によって変わります。ここでは、「認知向上」「サイトへの誘導」「獲得効果」の3つに分け、代表的な広告指標を紹介します。

認知向上に関する広告指標

商品やサービスの認知向上を狙ってWeb広告を出稿する場合、以下の4つの指標を設定します。これらの指標を用いて、広告を表示したユーザー数や回数、広告の費用対効果などを測定できます。

  • インプレッション数
  • インプレッション単価
  • リーチ
  • フリークエンシー

インプレッション数(imp)

広告が表示された回数です。例えば、1ユーザーに3回広告が表示された場合は、インプレッション数は3になります。インプレッション数をKPIにするのは、認知度向上やブランディングなど広告表示自体が成果になる施策です

インプレッション数について、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

インプレッションとは? 関連指標や増やす方法を紹介」を読む

インプレッション単価(CPM)

インプレッション単価は、広告を1,000回表示するためにかかったコストです。1,000回表示の理由は、主要なWeb広告が1,000回表示するごとに課金する仕組みになっているためです。

CPMは入札単価で決まるため、必ずしも安ければよいわけではありません。成果に直結しやすい広告枠やキーワードは、積極的に広告予算を投入することもあります

インプレッション単価について、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

インプレッションとは? 関連指標や増やす方法を紹介」を読む

リーチ

リーチとは、広告に到達した数値を示す指標です。同じユーザーが何度も同じ広告を見たとしても、リーチは1回とカウントされます。リーチは、どのくらいのユーザーにアプローチできているかを測定できます。また、複数の広告枠にWeb広告を出稿した際に、重複して広告の表示が発生した割合を調べるためにも用いられます。

リーチについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご確認ください。

リーチとは? 混同しやすい用語との違いやリーチを高める方法を解説」を読む

フリークエンシー

フリークエンシーとは、一人のユーザーに対して表示した広告回数です。認知度向上の広告運用では、繰り返し広告に接すると記憶に残りやすくなるため、フリークエンシーをKPIにできます。ただし、回数が多すぎるとユーザーに不快感を与えるリスクもあります。そのため、「フリークエンシーキャップ」で上限回数を設けて調整するのが一般的です。

フリークエンシーについて、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

フリークエンシーとは? リーチとの違いや適切な回数の決め方」を読む

サイトへの誘導に関する広告指標

サイトへの誘導を狙ってWeb広告を出稿する場合、設定するKPIは次の3つです。広告別に得られたクリック数や、1クリックに対する広告費などを測定できます。

  • クリック数
  • クリック率
  • クリック単価

クリック数(CT)

Web広告がクリックされた数です。広告に反応した数を測定できるため、KPIによく用いられます。ただし、自社商品に関心がないユーザーからのクリックが増えても、成果は上がりません。クリック数をKPIにする際には、クリックしたユーザーの質を調べてKGIへの貢献度を見極める必要があります。

クリック数について、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

広告のクリック数を増やすべき理由と具体的な改善方法を解説」を読む

クリック率(CTR)

1クリックあたりの広告費のことで、「クリック数÷インプレッション数」で計算できます。クリック数に応じて課金される広告の費用対効果を測定するKPIとして用いられます。また、自社商品に関心を持つユーザーに広告を表示できているか、広告(クリエイティブ)に魅力があるかなどを測る指標としても利用可能です。

クリック率について、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

ディスプレイ広告の平均クリック率(CTR)は? 改善ポイントも紹介」を読む

リスティング広告の平均クリック率(CTR)は? 改善のポイントも紹介」を読む

クリック単価(CPC)

1クリックあたりの広告費のことで、「広告費÷クリック数」で計算できます。クリック単価には売上や利益は含まれませんが、計算式に広告費が含まれているため、KGIに直結しやすい重要な指標です。クリック単価(CPC)が高すぎる場合、リスティング広告のキーワード選定の見直しや、ディスプレイ広告の出稿先の変更などの対策をおこないます

クリック単価について、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

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獲得効果に関する広告指標

獲得効果に関する広告指標は、会員登録や資料請求など、ユーザーに期待している行動に注目します。KPIをモニターすると、目標の達成度合いや広告投資のパフォーマンスを判断できます。

  • コンバージョン数
  • コンバージョン率
  • 顧客獲得単価
  • 注文獲得単価
  • 広告費用対効果

コンバージョン数(CV)

コンバージョンとは、商品購入や問い合わせなどのように、広告の目標として決めた成果に至った数です。Web広告の目標達成はKGIの達成につながるため、コンバージョン数はKPIによく用いられます

コンバージョン数について、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

リスティング広告のコンバージョン(CV)とは? 意味や種類、改善方法を紹介」を読む

コンバージョン率(CVR)

コンバージョン率は広告をクリックして自社サイトにアクセスしたユーザーのうち、コンバージョンに至ったユーザーの割合です。広告のコストパフォーマンスを精度よく測定できるため、コンバージョン率をKPIに採用するケースも多いです

コンバージョン率について、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

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顧客獲得単価(CPA)

顧客獲得単価は1コンバージョンにかかった広告費で、「広告費÷コンバージョン数」で計算できます。会員登録やサービスの契約などをコンバージョンにしている場合は、1人の顧客を獲得するのに必要な広告費を測定できます。顧客数よりも売上や利益を優先する場合は、「コンバージョン単価」とも呼ばれる指標です。

注文獲得単価(CPO)

1件の注文を獲得するためにかかった広告費です。注文獲得単価が安いほど効率的に受注につなげられていることを示します。不特定多数のユーザーが訪問するECサイトでは、簡易的に注文獲得単価を「特定の期間の広告費÷受注件数」で計算し、KPIにするのが一般的です

広告費用対効果(ROAS)

広告費用対効果(ROAS)は、広告費1円あたりで得られた売上です。「広告による売上高÷広告費×100(%)」で算出すると、売上の観点から広告の費用対効果を分析できます。一般的に、ROASは値が高いほどよいと考えられていますが、ROASは売上であって利益ではないことに注意が必要です。例えば、割引キャンペーンで売上が増えたものの、収益が伸びないケースがあります。

ROASについて、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

ROASとは? 活用のメリット・デメリットや改善のポイントを紹介」を読む

またリスティング広告の効果測定については、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

リスティング広告の効果測定をするには? 具体的な指標を解説」を読む

Web広告のKPIを決める手順

KPI設定の全体の流れを知っておくと、失敗リスクを減らしながら効率的にKPIを選定できます。ここでは、KPI設定の基本的な流れを解説します。

Web広告で達成したいKGIを決める

まずは、「認知度10%アップ」「サイトへの訪問数」「獲得数」といったKGIを決めましょう。KGIが決まらなければ、KPIも設定できません。また、KGIは総売上や粗利などを目標にする場合もありますが、Web広告運用ではもう少し範囲を狭めることも一般的です。例えば、スポーツジムのWeb広告運用なら、新規会員獲得数の目標をKGIにするなどです。

KGIと関連性の高い指標をKPIにする

次に、KGIに関連性が高い順にKPIを検討します。先の例のようにKGIが新規会員獲得数であれば、「新規会員獲得数=クリック数×コンバージョン率」で算出するためにクリック数がKPIの候補になるでしょう。その下位のKPIは「クリック数=表示回数×クリック率」で算出するために、表示回数がKPIと考えられます。新規会員獲得数100件を最終目標とする場合、そもそもクリック数が10,000件ないと達成できないため、中間目標としてクリック10,000件をKPIに設定します。

KPIに決めた指標の目標値を決める

各KPIが決まったら、指標の目標値を決めましょう。上記の例だと指標はクリック数、目標値は10,000件というように設定できます。適切に設定できているかを知るには、目標設定のフレームワークである「SMARTモデル」を参考にするとよいでしょう。「具体的で明確か」「測定可能か」「達成可能か」「KGIと関連しているか」「期限は明確か」の5項目で確認できます。

KPIにできる数値は、クリック数やコンバージョン数のほかに、ROASやROIなどが挙げられます。自社のサービスや商品の特性に合わせて設定してみましょう。

ROASについて、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

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Web広告のKPI設定で意識すべきこと

KPIの設定では、KGIに関連づけることや現実的に達成できる数値を設定するなど、意識するべきポイントがあります。

KGIから逆算してKPIを設定する

成果を出すためには、最終目標のKGIから逆算してKPIを設定することが重要です。その際には、KPIツリーをシンプルな構造にしましょう。原因を特定しやすいツリー構造にすることで、KPIをモニタリングして変化を発見しやすくなります。その結果、KPIから逆算して目標達成に近づくことができます。

現実的に達成できるKPIを設定する

現実的に達成できないKPIを設定すると、施策に携わるスタッフのモチベーションが上がりません。また、具体的な改善策や問題解決策も検討しにくくなるでしょう。特に新たな戦略や広告運用の手法を試す際は、仮説を立てて検証・改善できる範囲で、現実的な数値を設定します

KPIの中で優先順位をつける

期間や予算、人員には限りがあり、すべてのKPIで目標を一斉に達成するのは不可能なため、優先順位を設定しましょう。インプレッション数やリーチなどの認知向上施策のように、売上に直結しにくいKPIまで管理しようとすると、予算が増大しがちです。

一般的に、広告にかける予算に限りがある場合に効果的なのが、業績と関連度が高いCPAやROASなどをKPIにする方法です。例えば、Yahoo!広告の場合、キャンペーン単位で認知向上やサイト誘導、コンバージョンなど目的を変えられます。シンプルにCPAで目標数値を目指すことで、広告運用を調整しやすくなり、成果も出しやすくなるでしょう。

PDCAを細かく回して効果検証する

KPIはKPIツリー全体でPDCAを回すのではなく、個別の指標を評価して、細かくPDCAサイクルを回すことも重要です。例えば、KPIに設定しているクリック数やコンバージョン率の結果が悪ければ、CPAやROASへの影響も予測できます。

この場合、例えばユーザーニーズに合った広告文の内容を変えて検証します。変更によって改善された場合は、その要因を特定し、他の施策に応用できるかもしれません。改善されない場合は、さらに調査して問題点を突き止めます。その結果、KGI達成までの期間も短縮できます。

Web広告をやるならKPIを必ず決める

中間目標のKPIの設定は、最終的な目標のKGIを達成するために必須です。Web広告運用でもクリック数や顧客獲得単価などをKPIに設定し、定期的にモニターすることで、改善が図れます。

Yahoo!広告はキャンペーン単位でKPIを設定できるなど、柔軟で最適化しやすい広告運用を実現できます。自社の売上向上や広告費の削減などの施策にご活用ください。

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