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Webマーケティング入門 公開日:2021.12.10

顧客ロイヤリティとは? 高めるべき理由と向上に必要な指標、調査するときのポイント

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顧客ロイヤリティとは、顧客が企業や商品に持っている愛着や信頼のことです。顧客ロイヤリティを高めると、リピート率や顧客単価の向上などにつながります。

本記事では、顧客ロイヤリティとは何か、顧客ロイヤリティによる顧客の分類、顧客ロイヤリティを高めるメリットや方法、測定指標などを解説します。Web広告にも活用できる考え方なので、施策の参考にしてください。

顧客ロイヤリティとは?

顧客ロイヤリティとは、「Loyalty(忠誠心)」から派生した用語です。顧客が企業やブランド、商品に抱く愛着や信頼を意味します。

「顧客満足度が高い=顧客が購入を続ける」とは限りません。そのため商材に対する短期的かつ評価の高い顧客満足度だけでなく、長期的な愛着や信頼感が必要と考えられ、顧客ロイヤリティの考え方が注目され始めました。

例えば「特定のブランドに愛着があり、そのブランドの洋服しか買わない顧客」は、「特定のブランドに対して思い入れがなく、その時々で服を買う店を変える顧客」に比べてリピート率や顧客単価が高くなるでしょう。このように、ブランドや商品、サービスに対して愛着や信頼を持って利用し続けてくれる顧客を育てていき、長期的な目で見ることが重要である、という考え方に注目が集まっています。

顧客ロイヤリティが注目されるようになった背景

顧客ロイヤリティが注目されるようになったのは、商品自体への満足度だけでは競合に勝てない可能性があるためです。顧客が商品を継続して購入するかどうかは、商品自体への満足度が重要であるのは前提として、企業への愛着や親近感を持っているかどうかにも左右されます。

例えば商品自体に満足していたとしても、値段の違いや自社商品へのこだわりのなさが原因で同じような品質の競合商品に乗り換えられてしまうかもしれません。一方、自社に愛着を持ってくれている顧客は、同品質の競合商品があったとしても自社商品を継続購入してくれるでしょう。

このように、商品自体の品質に加えて企業への愛着や信頼も購買意欲を左右するため、顧客ロイヤリティの考え方が重視されるようになりました。

顧客ロイヤリティの種類

顧客ロイヤリティには、心理的ロイヤリティと行動的ロイヤリティの2種類があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

心理的ロイヤリティ

心理的ロイヤリティとは、企業やブランド、商品に対する愛着や信頼度を測る指標です。例えば、ブランド名が購入の決め手になっている、ユーザーコミュニティサイトに参加している、などは心理的ロイヤリティが高いことを示します。

行動的ロイヤリティ

行動的ロイヤリティとは、商品を購入したり、他者に推薦したりする行動の頻度や強さを測定する指標であり、企業が望んでいる行動をユーザーに起こしてもらう度合いです。この指標は、購入額、購入頻度、他者への紹介件数などで測定されます。

顧客の分類

心理的ロイヤリティや行動的ロイヤリティは、双方が高い顧客だけとは限りません。それぞれの高さや低さを組み合わせると、4パターンに分類できます。

1.心理的ロイヤリティ・行動的ロイヤリティともに高い顧客層

「真のファン」といえる顧客層で、企業がもっとも大切にするべきロイヤルカスタマーです。長期間にわたって継続的に購入してもらえる可能性が高く、顧客単価も高い傾向があります

2.心理的ロイヤリティは高いが、行動的ロイヤリティは低い顧客層

「潜在的なファン」といえる顧客層で、将来的にロイヤルカスタマーに育成できる可能性があります。この顧客層が増えやすいのは、ハイブランドや自動車、住宅などの高額商品を扱う企業です

3.心理的ロイヤリティは低いが、行動的ロイヤリティは高い顧客層

「一時的なファン」といえる顧客層で、競合他社に移りやすい傾向があります。流行している商品や季節的に需要がある商品などを扱う企業で、この割合が増えやすいことが特徴です。また、自社の商圏内に競合他社がいない場合などは、一時的なファンユーザーが増えることもあります。

4.心理的ロイヤリティ・行動的ロイヤリティともに低い顧客層

「一般消費者」または潜在層で、売上への貢献度が低い顧客層です。この顧客層が多い場合は、広告不足で認知度が低いことや、商品やサービスに改善するべき点がある場合など、さまざまな理由が考えられます

顧客ロイヤリティを高めるべき理由

顧客ロイヤリティを高めると、リピート率や顧客単価の向上など、さまざまなメリットがあります。

リピート率が向上する

顧客ロイヤリティが高まると、ブランド自体への信頼が厚くなるため、リピート率が向上します。特に消費材の場合は、長期間にわたり同じ商品をリピート購入する傾向があります。

顧客ロイヤリティは、消費者自らがインターネットで情報検索でき、競合他社に乗り換えられやすい現代では特に重要です。価格競争を避けながらリピーターを増やすには、自社への愛着や信頼感を持ってもらうための施策が欠かせません。

解約率が低下する

顧客ロイヤリティが高ければ、リピート率と同じく会社への信頼感から、競合他社へ離脱しにくくなります。競合他社がキャンペーンや割引などをおこなっても、安易に商品やサービスを乗り換えるユーザーが減るでしょう。

ただし、サブスクリプション型サービスなどでは、顧客自らの意志で契約を継続してもらうことがもっとも望ましい状態です。中途解約の違約金や複数年契約の割引などをおこなって顧客を囲い込む戦略もありますが、実施したからといって長期的に契約してもらえる保証はないことを覚えておきましょう

顧客単価を上げられる

顧客ロイヤリティが高いと、商品やブランドへの安心感がある状態で購入するため、顧客単価が上がる傾向があります。また、関連商品の購入を検討してもらうクロスセルや、過去に購入してもらったものより高額な商品の購入を検討してもらうアップセルの施策が成功しやすいことも特徴です

よい評判・口コミが増える

会社やブランド、商品に対して愛着を持っている顧客は、他人にも同じような体験をしてほしいと考え、よい口コミを広めてくれます。

インターネットが普及したことによって、SNSやブログ、ECモールのコメントなどもよく目にするようになり、一般消費者のレビューや口コミの重要性が増してきました。顧客ロイヤリティの高いユーザーの口コミが拡散されることによって、新規顧客の獲得につながる事例も増えてきています。

顧客ロイヤリティを測る指標

ここでは、顧客ロイヤリティを測る代表的な指標を4つ紹介します。精度を高めるためには、複数の指標による測定が重要です。

顧客満足度

顧客満足度は、ユーザーが自社商品やサービスに満足しているかを測る度合いです。顧客ロイヤリティが企業に対する愛着や信頼を重視するのに対して、顧客満足度は商材に対する具体的な評価を重視します。

顧客満足度を測定する具体的な方法はアンケート調査が一般的です。Webサイトにアンケートフォームを設けたり、カスタマーセンターで直接ヒアリングしたりするなど、自社に合った方法を選びましょう。

顧客維持率

顧客維持率とは、特定期間内に取引を維持できている顧客がどれだけいるかを示す指標です。顧客維持率を測ることで、自社を継続的に利用している顧客ロイヤリティの高いユーザーの割合がわかります

顧客維持率の計算式は以下のとおりです。

顧客維持率(%)= ((特定期間の総顧客数 - 特定期間の新規顧客))÷ 累計顧客数) ×100

顧客解約率を計算する場合は「100%ー顧客維持率(%)」で計算できます。

感動指数

感動指数は、商品やサービスが顧客に与えた感動を測る指標です。想定していた期待を上回る商品やサービスを提供すると、顧客に感動を与えられ顧客ロイヤリティの獲得につながります。

顧客が想定していた内容のサービスでは、顧客満足度は向上しても感動までは与えられません。商品やサービスが顧客の期待値を大きく上回るほど、感動指数も大きくなります。

CES(顧客努力指標)

CESは、商品やサービスの利用にあたって顧客側に必要とされる努力のことです。顧客が感じたストレスなどネガティブな面を測る指標で、CESも顧客ロイヤリティの指標として活用できます

CESが高いほど、顧客の努力を必要とする商品・サービスであることを意味します。例えば、「商品の使い方がわかりにくい」「カスタマーサポートの対応が悪い」などのケースです。CESが高くなるほど顧客の不満要素が多く、顧客ロイヤリティ低下の原因になります。

CSI(顧客満足度指数)

CSIは、顧客に対して複数の質問をおこない、回答の平均値から顧客満足度を測る指標です。データ数が十分でないと結果の信頼性が低くなるため、中小企業では活用しにくいケースもありますが、CSIも顧客ロイヤリティを測る指標として活用できます

顧客への質問は、主に以下の5つです。

  • 顧客期待値
  • 顧客不満足度
  • 知覚品質
  • 知覚値
  • 顧客忠実度

上記の質問に対して0から100の数値で評価してもらい、平均値を算出します。

LTV(ライフ・タイム・バリュー)

LTV(ライフ・タイム・バリュー=顧客生涯価値)とは、取引開始から取引終了までの間に顧客がもたらす価値です。LTVの測定は、以下の計算式で求めます。

LTV=顧客単価×粗利率×購買頻度×取引期間ー顧客の獲得・維持コスト

上の式はやや複雑で計測しにくいため、以下の簡易的な計算式を使うこともあります。

LTV=顧客の年間取引額 × 収益率 × 顧客の継続年数

LTV=顧客の平均購入単価 × 平均購入回数

重要なのは、長期的に、かつ購入頻度や取引期間など複数の要素で顧客を評価している点です。そのため、精度の高い行動ロイヤリティの測定が可能です。

NPS(ネット・プロモーター・スコア)

NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、家族や友人に自社商品を勧めたい度合いで顧客ロイヤリティを測定する指標です。業種・商材によらず活用でき、簡易的な方法で顧客ロイヤリティを測定できるため、もっとも代表的な指標とされています

NPSの測定手順は以下のとおりです。

  1. 顧客に「自社商品を周囲の人や家族、友人に勧める可能性がどのくらいあるか?」という質問をして、0~10の11段階で回答してもらいます。
  2. 回答結果から以下のように顧客を分類します。
  3. 回答 分類
    9~10 推奨者
    7~8 中立者
    0~6 批判者

  4. 全体に対する推奨者の割合と批判者の割合を計算します。
  5. 以下の計算式でNPSを求めます。
    NPS=推奨者の割合(%)ー批判者の割合(%)

顧客ロイヤリティを調査するときのポイント

ここでは、顧客ロイヤリティを調査するときに意識すべき4つのポイントを紹介します。

計測に使う指標を増やしすぎない

顧客ロイヤリティを測る指標を7つ紹介しましたが、そのすべてを確認する必要はありません。調査の目的を明確にしたうえで、調査する指標は多くしすぎないようにしましょう。確認する指標が多すぎると、調査に時間がかかりすぎたり、調査結果が膨大になりすぎて情報の整理が困難になったりするおそれがあります

担当者間で定義を揃える

顧客ロイヤリティは明確な数値結果が得られるものではなく、複数の指標から総合的に判断しなければなりません。そのため、担当者間で認識や定義が揃っていないと調査結果の解釈が異なり、スムーズに分析が進められない可能性があります。担当者が複数いる場合は、必ず調査前に定義を揃えておきましょう

調査と予算がみあっているかを確認する

顧客アンケートやCSIなど、費用をかけなければならない調査もあります。費用を無駄にしないために、調査と予算がかみあっているか確認し、費用対効果を考えて調査をすすめることも大切です。例えば、十分なデータ数が見込めないのにCSIの調査を実施して信頼性の低いデータを得るのは、費用対効果がよいとはいえないでしょう。

顧客ロイヤリティと業績・自社状況を一緒に把握する

顧客ロイヤリティだけを意識するのではなく、業績や自社状況も踏まえて現状を評価する必要があります。例えば、調査で顧客満足度が高い結果が出たとしても、実際には解約数が多かったり新規顧客数が伸び悩んでいたりするケースもあるでしょう。この場合、自社に課題があることを認識して対策が必要です。

顧客ロイヤリティだけでなく、業績や自社状況の両方を把握したうえで今後の施策を検討するようにしましょう。

顧客ロイヤリティを高める方法

顧客ロイヤリティを高めるには、CX(顧客体験)の向上、顧客のセグメント化、Web広告など総合的な取り組みをおこないます。そのためには、まず自社の現状把握からはじめることが必要です。

現状の顧客ロイヤリティを把握する

顧客ロイヤリティを高めるには、上記で紹介した指標などを用いた定量的なデータ分析をおこない、現状の顧客ロイヤリティを把握することが必要です。例えば、顧客満足度のアンケートの回答欄に「良い・悪い・どちらでもない」のような選択肢を設けます。顧客からデータを集めて、定量的に計測できる仕組みにします。

ただし、次で説明するCX(顧客体験)向上のための課題を発見するには、自由形式でコメントを書いてもらう定性的な調査も大切です。例えば、「上の質問になぜ「よい」と回答しましたか」など定量的なアンケート項目の選択理由を問う設問や、「商品を購入したきっかけ」「改善してほしいと思うポイント」など顧客ごとにさまざまな回答が予想される設問も用意しておきましょう。

CX(顧客体験)を向上させる

CX(顧客体験)とは、顧客が商品を認知することから商談、商品の購入や利用、アフターフォローを受けるまで、すべての工程における顧客体験を指します。企業や商品への愛着や信頼感は全工程の総合評価で決まります。そのため、CX(顧客体験)を向上する施策は、顧客ロイヤリティを高める施策と重なる部分が多くあります。

CX(顧客体験)を高めるためによく用いられる手法は、カスタマージャーニーマップです。カスタマージャーニーマップは特定のペルソナを想定し、商品認知→購入→購入後の心理・行動をシナリオ化する手法です。

この手法のメリットは、マーケティング全体を時系列で分析できることです。小さな課題を見つけて一つひとつ改善していくと、顧客ロイヤリティの向上につながるでしょう。なお、分析は、成果に直接つながっていない要素も含めておこないます。

ロイヤリティプログラムを活用する

ロイヤリティプログラムとは、購入頻度や購入額に応じてポイント付与やクーポン配布などの特典を用意するマーケティング施策のことです。優良顧客に対してよりよい購入体験を提供することで、商品やサービス、ひいては自社へのファン度を高めていくことが可能です

ポイントやクーポン以外にも、新商品の先行購入の権利や限定イベントへの参加など、さまざまな特典が考えられます。商品・サービスの特性や顧客ニーズなどを考慮して、既存顧客によろこばれるような特典を検討しましょう。

顧客をセグメント化して施策を実施する

顧客をセグメント化して、それぞれの施策を実施しましょう。新規顧客の開拓や既存顧客の単価アップなどの目的に応じ、施策に優先順位を付けて実施することも重要です

先に紹介した2種類の顧客ロイヤリティによる分類では、以下のような施策が考えられます。

  1. 心理的ロイヤリティ・行動的ロイヤリティともに高い顧客層
    現状を維持するための特典や割引などを実施します。また、手厚いフォローで特別感を持ってもらうことも重要です。
  2. 心理的ロイヤリティは高いが、行動的ロイヤリティは低い顧客層
    行動してもらうきっかけを与えることが重要です。例えば、セミナーやイベント開催、割引クーポンの配布などの施策があります。
  3. 心理的ロイヤリティは低いが、行動的ロイヤリティは高い顧客層
    リピーターのみが参加できるキャンペーンや、品薄の人気商品を優先的に購入できる特典などの施策をおこなうことで、心理的ロイヤリティを高めましょう。
  4. 心理的ロイヤリティ・行動的ロイヤリティともに低い顧客層
    心理的ロイヤリティ・行動的ロイヤリティが低い場合は品質や価格の改善、アフターフォローの充実などにより、顧客の不満を改善する対策が必要です。また、認知度の低い層への広告を増やす施策もおこないましょう。

Web広告を活用する

既存顧客は自社サイトにアクセスする確率が高いため、リターゲティング広告を活用できます。リターゲティング広告とは、自社サイトを訪れたユーザーに対して、他サイトの広告枠やアプリ内で広告を再配信する手法です。閲覧履歴に応じて特定の商品の訴求もできます。ただし、リターゲティング広告を活用しすぎると、ユーザーがしつこいと感じてしまう可能性があるので頻度には注意しましょう。フリークエンシーキャップを設定するなどして、広告表示の上限回数や期間を最適化できます。

フリークエンシーやフリークエンシーキャップについて、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

フリークエンシーキャップについて」を詳しく見る

さらに、企業が保有している顧客リストをディスプレイ広告に連動させることも可能です。ヤフーのディスプレイ広告「オーディエンスリスト」を利用すると、データ連携ツール を経由して、特定の顧客に広告配信できます。新規顧客と差別化した広告運用によって、顧客ロイヤリティを高められるでしょう。

リターゲティングについて、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

「リターゲティングとは? 仕組みや活用法、今後の動向について解説」を読む

顧客ロイヤリティの分析で顧客との関係を強化しよう

企業や商品への愛着や信頼を表す顧客ロイヤリティを高めると、リピート率向上や顧客単価アップ、よい口コミの拡散など多くのメリットがあります。顧客満足度やNPSなどの指標を用いて顧客ロイヤリティを測定しながら、適切な施策を実施しましょう。

顧客ロイヤリティを高めるオンライン施策のひとつがWeb広告です。Yahoo!広告では既存顧客向けのターゲティング機能も用意されているため、顧客ロイヤリティ向上のためにご活用ください。

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